AIをマーケティングに活用する時代。デジタルマーケターは生き残れるか?

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 そもそもAIってなんでしょうか。「BIGDATAを学習して、課題に対して最適な答えを出す人工知能」という理解が一般的だと思います。デジタルマーケティングは、そもそもWEBをベースにして、あらゆる生活者の行動データを収集分析し、効率的なソリューションを自動化していく方向に進んでいます。ということは、今、ヒトが行っているデジタルマーケティング自体、AIでできてしまうのではないか。すると、従事している人はみな失業してしまうのではないか?という単純な疑問が生まれます。

機械学習、ディープラーニング、特化型AI、汎用性AIなどAIの区分けがありますが、「AIそのものとマーケターの未来」に関して考えていきたいと思います。

結論から言うと、「単純な反復データ作業(INPUT/OUTPUT)」はAIが行う。

一方、課題に対して「解決と創造」をすることはヒトが行います。

要は、AIをチームの一員であるスタッフとして育成していく。という考え方が重要だと思います。

1.マーケティングにおけるAI

1-1. AIをマーケティングに活用することとは

基本的には、AIによって、データからパターンや特徴を見出すことを指します。つまり、これまで人間では出来なかった「大量のデータの中から、成約まで至る顧客のパターンや特徴を見つけ出すこと」です。

1-2. One to Oneマーケティングへ

“データを扱うところにAIあり”

従来ヒトが行なっていたデータ定型作業や単純作業はどんどんAIによって自動化されていきます。マーケティングにおけるAIの価値は『繰り返し発生する業務』を自動化できることです。定量的はもちろん定性的なものまでデータ化し、いわゆるこれまでの、「設定したペルソナに合わせたターゲッティング」から、「一人ひとりに向けたオリジナルのOne to Oneマーケティング」が可能となります。

1-3. AI/機械学習 (認識系AI、予測系AI、会話系AI、実行系AIなど)

マーケティングでは、生活者の行動データから「今」そして「これから」の行動を予測(仮説を建て)し、先回りして施策を打つことがポイントです。

AIは、膨大なデータの中から相関関係を見つけ出し、新たな傾向を予測する等の能力に長けており、データが使える形で蓄積され、潜在的なニーズも顕在化していくという特徴があります。

「予測系AI」

主に顧客行動の未来予測、時系列の未来予測、異常検知の3つの活用が期待されています。

過去~現在の行動をベースに次のアクションを予測して商品やチャネルの組み合わせから最適解を見つけ出し、リアルタイムに学習します。

「教師データ」はヒトが設定

AIに学習させる「教師データ」(模範解答のようなデータ)を既存のデータベースから抽出し、高い精度を出すためにチューニングすることは、ヒトが行う必要があります。 しかし、そもそも精度の高いデータ(例えば、優良見込顧客のデータが豊富にあるデータベース)がなければ、結果として精度の低いOUTPUTとなってしまうので、AIが最適解を出すことは難しいのです。ゆえに、データのチューニングする専門知識を有した人材が必要になります。

1-4. 「ディープラーニング」

機械学習から更に進化し、データを学習し導いた答えに対する実行の結果をさらに自ら自動で学習していきます。つまり、学習の仕方そのものもAIに考えさせるものです。

データさえあれば、あとはAIが自動でアルゴリズムを生成し、学習しながら成長していくため、AIの適用範囲を広げてくれるものとして期待されています。

「ディープラーニング」は大量なデータが必要です。(最低でも5,000万レコードとも言われています)。これは、マーケティングリサーチでも母数が多ければ多いほど、標準偏差が少ないということでも理解できると思います。

2. AIはどこへ向かっていくのか

2-1. シンギュラリティ

AIが向かっている方向の一定のゴールは、アンドロイド(人間型ロボット、ヒューマノイド)だと思います。

統計数値分析処理の左脳的機能。これは今まさに実装され精度を高めていきます。

感情を司る右脳的機能。感情を数値化して、マッチングさせることも多角的に実装され進んでいます。また、感情の微妙な起伏などの人間の脳の変化も、脳波の研究が進んでいます。

2045年シンギュラリティ問題(人工知能が人間の脳を超える)が訪れるという見解が多いのもうなずけます。

2-2. AIは人間になれるか

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①生命体としての可能性

身体的機能。二足歩行ロボットも研究開発が急ピッチで進んでいます。

いわゆるサイボーグ(機械人間)は、そう遠くない未来に完成するのではないかと言われています。人間以上に、計算能力が速く精密で、感情も豊か。そして身体も柔軟に動き、移動、力仕事が可能です。

災害救援や介護に加え、建設現場や運搬配送業務にとてつもない力を発揮できます。

 

その先は、人間としての生命体です。再生医療の進歩が加速し、人工的に皮膚や臓器が作られるようになり、今後、病気治癒の目的で人間の生命体の各部分も医療技術で作られていくようになります。

すると、人間が、人間を作ることが可能な時代がやってくることになると思われます。

 

②感情の読み取り・表現

AIにヒトの経験データや感情タイプの設定などが可能となると、そのアンドロイドの感情の部分も、人間がコントロール可能になります。。

 クローン技術とは違い、人間が“心身をコントロールできる人間”がつくれるようになります。この時点で、すでにSFの世界ですが、そのアンドロイドは、すでに人間の脳や身体能力を超えているので、AIが人間を攻撃支配するような判断をしてしまうと、人間対アンドロイドの戦いが勃発することになる。。。

 

これは妄想ではなく、実現することが現実味を帯びています。

 

➂AI人間の現実味

しかし、そこまでは現実的には不可能です。人間は長い歴史を得て、民主主義を構築し、法治国家として国際社会が作られるようになりました。ゆえに、法倫理の観点から、人間が人間をつくるようなことは技術ができたとしても、実現はできません。クローンも然りです。

よって、現実的には、シンギュラリティが訪れたとしても、「人間をサポートすることがAIの存在意義」となります。

3. AIとマーケター

3-1. AIによってなくなる職業

AIで効率化を追求し実現していくと、なくなると言われている職業があります。時代の流れの中で時代に適合した職業に変化していくことは、これまでの産業革命などのイノベーションの歴史の中でも起きていることであり、時代の方向性として受け入れなければなりません。

3-2. デジタルマーケティングの従事者

よって、デジタルマーケティングに従事している人々は、AIとの共存を前提とし、AIをディレクションしていくという、人間としてのリーダーシップを発揮しなければ生き残れません。

ヒトは、DATA活用の戦略を設定し、データ分析処理作業はスピード感あふれる精緻なAIにやらせる。すると、人間はよりマーケティング戦略構築自体に時間を使えることになります。

ゆえに、今後ヒトは、AIに学習させる質の高いデータを選定し、AIの分析結果を次の施策に生かし、重要な局面で決断するという、さらに高度な知識、経験、洞察力が求められる時代になります

3-3. デジタルマーケターに必要なこと

クライアントへの提案時など、「AIを使ってBIGDATAを解析した結果データですので、精度が高いものです。」というマーケティング施策提案は今後さらに多角的に進化し、予定調和的になっていくと思われます。同時に、どのような生活者DATAをどんな切り口でどれくらいの分量読み込ませたかというような質の戦いになります。やがてそれは、個人情報保護法との闘いやGAFAなどの巨大企業によって分析データの平準化が生じていくと思われます。(過去現在に及ぶ生活者の行動データの蓄積の平準化)。しかし、一歩先を行くには、AIの導き出した答えに対して、人間のその人でしか知りえない、創造できない、経験、体験と直感から生み出された発想アイディアという付加価値が求められてきます。

4. AIを使用する目的の明確化

安易な導入は避けるべき

単純に「時代に乗り遅れないようにAIを導入しよう。」という考え方では失敗すると思われます。

なぜなら、AI導入コストや、データの種類・量などによって、AIを導入しないほうが効率的という事も考えられるからです。

 

AIを導入し、成果を出すためには一定の条件が整っている必要があります。

そして、その条件が整ってもAIの投資分のリターンを期待することが出来るのか?を現実的に検討することも大切です。

作業改善・効率化が期待できるが、投資分を回収するまでには至らないようであればAIは導入することは意味ありません。

 

ディープラーニングは、頭のいいAIという印象がありますが、そもそもヒトが学習させる良質で合法的な大量データを収集できれいなければ、宝の持ち腐れ、結果精度も低いことになります。

5. コンピューターの仕組みを知れば、AIの方向性が見えてくる

「人工知能AIという機械が、ものごとを学習して考えて答えを出す。」って、いったいどうして可能なのでしょうか。

5-1. そもそも、コンピューターって?

マイナスに帯電している「電子」の特性を利用して、半導体シリコンを使用し電子回路のONOFFを、0と1の二進法で制御している計算機です。

0と1で構成される最小の電子回路単位が、1ビット。

32ビットというと、電子回路単位が32個存在することで、同時計算処理能力が高くなります。これが、CPUの原理です。

同時に計算できる能力(異なるデータに対して、同じ処理を同時に大量に)を高めたのが、スーパーコンピューターです。

5-2. AIの仕組みは?

「この0と1で構成される、膨大なデータパターンをコンピューターが記憶・学習し、命令に対して、最も近い答え(パターン)を導き出し、表示する。そして、それをメモリに記憶してまた取り出して、さらに学習していく。。。」ということが原理です。

これはコンピューターの大量DATA高速処理・記憶能力が高まったことで、可能になりました。

AIが最適な答え(パターン)を出すためには、あらゆるケーススタディのDATAがないと方向性が定まらないため導き出せません。ゆえに、良質なBIGDATAが必須ということになります。

質の悪いデータ(課題に関係のない、あいまいなデータ)を学習したら、あいまいな答えしか出てきません。

5-3. ヒトがAIを教育する。

しっかりとした教育をしないと、理想的なAIには育ちません。

ゆえに、人間の「AIに教える先生としての能力」がカギとなります。

5-4. 量子コンピューターって?

電子は「粒子」と「波動」を併せ持った物質・エネルギーの単位として捉えられます。

電子の波は、どちらの方向に進むかが確立論で説明できることが理論的に分かっているので、電子の波の動きを制御すれば、一つの電子で、0と1を自在に操ることが可能となる。(最も特徴的な性質。現在のコンピュータでは実現できない0と1の重ね合わせ計算)すると、電子回路で大量の計算処理ができることりなり、それが同時に複数の電子回路があると、膨大な計算が同時に並列で、しかも高速で可能となるという。

その論理を実装しようとしているのが、量子コンピューターです。

※量子とは、物質を形作っている原子・電子・中性子・陽子・光子やニュートリノやクォーク、ミュオンなどといった素粒子も量子に含まれます。

5-5. 量子コンピューターが実現すると、どうなるのか

これが実現すると、世の中はどうなるのか。推測の域で極端な方向性ではありますが、

・人間の一生24時間365日の接触したあらゆる環境DATA を全人口分

・及び、地球と宇宙のあらゆるDATAなど

を記憶・学習し、課題に対して瞬時に計算し、地球や人間の「今」の把握・「未来」の予測、自然災害や人災の予測、複雑な社会問題や新薬の開発が可能になるのではと期待されています。

また、「人間の脳にチップを埋め込み、脳に入ってきたあらゆる情報をデータ化して全人口分、リアルタイムで量子コンピューターと同期する。」「思っただけで、それが手配される。相手に伝わる。」なんてことも可能になるかもしれません。テレパシーのようなことも現在、研究が進んでいます。

しかし、これは「人間はコンピューターを通して、コントロールできる。」ことを意味しており、便利と思うか、恐ろしいと思うか。という倫理価値判断のレベルだと思います。

この実現は、まだ早くて数十年先と言われてはいますが、巨大IT企業は、上記の事を、今現在もすさまじい勢いで研究開発しています。

6. AI時代のマーケターの役割

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6-1. AIの先生になろう。

今後ますます世界的にデジタルテクノロジーの技術開発は加速していきますが、デジタル社会をマーケティングするマーケターとして、AI・コンピューターを道具(計算機)として使いこなせるスキルが問われる時代になります。

 

「AIに読解力はない。」などと言う専門家もいますが、人間が蓄積してきたありとあらゆる文献や知見見識をデータ化しAIが学習すれば、入試試験などでも記述式回答をスラスラと解ける時代は来るかもしれません。人間特有の感情の微妙な起伏や個性・特徴などもデータ化すれば、AIの精度はどんどん高まっていくでしょう。

 

しかし、それらの情報に一喜一憂せず、まずは、

「その時々で“ヒトがやるべきこと”を見極め、AIと上手く付き合っていくこと」

が重要です。

6-2. AIをマーケティングに活かすポイント

「大量の質の良い学習データ」をAIに活かすため、まず、ヒトが行うことは、

1.活用するデータの選定

2.データの前処理(データクレンジング)

です。

これらを適切に行うにはAIに通じた専門知識や経験と実績が必要になります。つまり、ビジネス的知見、戦略立案した企画に必要なデータを明確化する「脳力」が重要です。

6-3. 人間こそ進化が必要

よって今言えることは、ヒト自身が、知識面・スキル面での脳力の進化が必要です。

 

・課題に対して自分が何を成し遂げたいのかを明確にし、マーケティング構造全体を設計。

・その目的の下、AIに分析してもらいたい事の要件定義を明確化。

ヒト自らが適切なデータセットを分析・選定し、それをAIに生かせるようなシステム・ツールを開発。

・AIの模範となる「教師データ」を磨いていく専門知識・能力。

・要件定義のもと、質の高いデータを大量にAIに学習させる。

・AIの分析結果のバグだしや、チューニング微調整を繰り返す。

・AI分析結果も基に、独創的・創造的な発想アイディアと、そして、施策を実現する力。

 そして何よりも、プロジェクト全体としてしっかり利益を生み出す力。。

・「AIに教える先生として、AIを使いこなせる力、

・より高度な全体マーケティング戦略や各施策立案、戦略や施策を実行するためのステークホルダーの説得・折衝能力

などが求められます。

7. 「人間の脳力」×「AIの知能」

人間+AIで、マーケティング全体としてサービスの質が向上し、顧客の体験も良くなる。

この好循環が、さらなる効果を生む。

 

スポーツ観戦や、ライブ会場などで人々が一体感をつくり、そこで生まれる熱気や感動、空気感はヒトが産み出し、体験するのものです。体験価値を数値化できたとしても、その深層心理の記憶の連鎖は人間ならではだと思います。

 

よって、ネットビジネスにおいても、購入前~購入時~購入後の一連の“体験ストーリー”設計は人間が産み出すものであり、買い物の効率性を上げるサービスの“利便性”をAIが担うことが大切です。

 

「社長!そこを何とか!お願いします」。

「君の熱意に負けたよ!失敗もしたけど、大いに収穫はあった。失敗は次の成功の宝の山だ。次につなげよう!よし、飲みに行ってコミュニケーションを深め、信頼関係を築いていこう。」

 

これは、That’ Old 営業。

しかし、考えてほしい。

人間は、感情で動く生き物。

データに固執していくと、いつかは、人間はデータに支配されてしまいます。

8. 人間は答えのない社会問題にAIと挑む。

前例のないことや、ブランドのような合理性だけで判断できないこと。そして、今まで行なってきた試行錯誤から生まれた成功事例・失敗事例は、ベストプラクティスの塊です。

データから判断できることは、AIに任せてしまって、人はデータから判断できないことに取り組むべき。

今後は、人間だからこそできる考える力、意志の強さ、粘り強く人間関係を調整する力、直感、そして決断力が必要です。

AIによって繰り返し発生するデータ業務を自動化すれば、意思決定にかかる時間を減らすこともでき、新たなことを行う余力ができます。

 

人間の脳力とAIの知能 で、理屈では割り切ることができない世界の様々な社会の難題に挑み、新たなイノベーションの新時代を創造していくというヒトとしての生き方が問われる時代になりました。

 

デジタルマーケターは、戦略立案能力、目的設定、データ選定、データを見る眼を養うなど、AIの先生としての能力を高め、教え子(AI)を育てていきましょう。

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