ターゲティング効いてる?ペルソナでは掴めない時代の極意大公開!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ペルソナで、わたしのことわかりますか?」

出展:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000010620.html

「5秒前のわたしと いまのわたしは違う」

「わたしが泣いているか、笑っているか、わかりますか?」

 今年2019年5月のこの広告キャンペーンで、「あ!」と思った方は多いのではないでしょうか。

 マーケティング部署の担当者の方であれば、ターゲティングやペルソナ設定に取り組んできた方も多いと思います。
 まさに今、その固定された顧客像で、顧客を決めつけてしまっていては、マーケティングが効かない時代になっています。
 個人の価値観の多様化、複雑化、流動化によって、十把一絡げでくくれないのです。

 ここでは、ターゲティングの本質を突く作業フローを具体的に紹介します。

1. 個人の価値観が多様化する現代のターゲティングの方向性

現状の表面上の属性的なペルソナが同様でも、人それぞれ、過去、そして未来は違います。よって、過去の体験から、実は今どんなことに興味関心があるのか。あるいは、これから未来に向けて、どのような方向性、嗜好性があるのか。は千差万別です。
 今日、それらを個人のWEBトラッキングによってデータを蓄積し、見える化していくというビッグデータ処理能力、AI技術の向上により、大量データ解析が可能な時代になってきました。

例えば、ある個人の属性、趣味嗜好など把握したと仮定します。

「今」・・・「その個人に ”今、この瞬間” に購入してもらう。」ことは、毎秒毎秒チャンスがやってきます。
 オンラインの場合、閲覧WEBサイトや個人の感情の状態(SNSのスタンプ、いいねなど)などに合わせ、興味関心が高まった時点で商品をプッシュすることは可能です。リアルの店舗などでは、商品と接した瞬間にどのようにその人が感じるか。「いいかも。」と思った瞬間にアクションにつなげる施策を考えていきます。

「未来」・・・例えば、半年後に学校入学、試験、就職、旅行、結婚、出産など、将来のライフスタイルが見えている個人だと、本人がWEB上に蓄積していくそれらのデータを統合して、「その時」に向け、事前にプロモーションの準備が可能となってきました。

 個人の一時の属性や趣味嗜好で全てを判断するのではなく、これらの個人の変化していくデータベースを基に、きめ細かくターゲットに寄り添っていくことが重要です。しかし、これは膨大な作業量なので、これまで人海戦術ではデータ収集も分析も実現は難しかったのですが、今やAI活用で精度が向上しています。

2. 複雑化するマーケティング上の課題

近年、WEBマーケティング技術が高度化してきましたが、下記のような声も数多く聞こえるようになってきています。

「ベストセラーだった商品の売れ行きが近年芳しくない。」
「新商品をマーケットに投入したのだが、WEBもリアル店舗も売上数値を追いかけるあまり、あれもこれもとプロモーションを広げてしまい、結局一過性の売上で終わってしまいリピーターが獲得できていない。」
「習った通り、きちんとターゲティングをしたのだが、レスポンスが想定に届かない。」
「この商品は日本全国の老若男女に広く売りたい。ターゲットを絞るようなターゲティングをしてしまうと、それ以外人々の売上が失われてしまうではないか。」

このような課題をいかに解決していくか。が、マーケティングです。
マーケティング=現状を把握して、あるべき方向に導くことです。(地図とコンパス)

3.ターゲティングの意義

よって、今日WEBとリアルの複雑化した情報洪水の世の中で、
「企業のラブレターを、商品を買ってほしい人に届けて恋に落ち、商品を買ってもらい、リピーターになって、みんなに広めてもらう。」
という成功ストーリーを手にするには、まずは、マーケティング全体からターゲティングを考察するべきと考えます。
ターゲティングとはという用語説明や、ターゲティングのやり方などの小手先の知識で、商品の認知・売上がアップ・継続していたら、それは魔法使いの仕業でしょう(笑)。

ネット上には、ターゲティング、ターゲット、ペルソナ、セグメンテーション、ポジショニングなど、たくさんの横文字が溢れかえっています。その横文字の意味合いに左右されない本質的な考え方を展開していきます。
ターゲットを設定するために、必要不可欠なマーケティング要素のエッセンスをまとめました。

4.ターゲティングとは


“ターゲットはどこにいる?”

マーケットには、多くの様々な人々がいます。売上を向上させるために、「これらすべての人々に、商品を買ってもらいたい!」と思うのは当然です。しかし、人それぞれ、属性も趣味嗜好も違うので、限られた経営資源・マーケティング予算を効率よく投下するためには、購入想定者=ターゲットを定める必要があります。

商品・サービスをマーケットへ投入する際、誰に向けた商品・サービスなのかを明確にすることにより、購入者像を想定していきます。
「ターゲット」は、想定する購入対象者=標的です。
「ターゲティング」は、「ターゲット」に「ing」進行形がついていますので、ターゲットを設定するプロセスのことを指します。つまり、常に変化しているマーケットのどの対象者をターゲットにするかを決定するプロセスのことです。

例えば、「マーケティング分析の過程でいくつかのクラスター候補のなかから、ターゲットを“東京在住の20~30代の女性”に設定しました。」というとわかりやすいかと思います。

よく説明されるのが、「ターゲティングとは、マーケットセグメンテーションをし、どの顧客層を標的市場にするかを決めること。」と説明がされています。実は、この説明で多くの人が「??」となってしまいます。この説明ですと、顧客層(=ターゲット)と標的市場(=マーケット)と言葉上では本来違うものが同一のものになっていて、混乱しているようです。

この説明は、マーケット全体の中で、「セグメントされた顧客層」=「設定したターゲットがいる市場」ということなのですが、やはりややこしいので、シンプルに、「ターゲティング=誰をターゲットにするか」と理解しましょう。

4.ターゲティングにAIを活用する

著名なピーター・F・ドラッカー*の
「マーケティングの理想は販売を不要にすることである」
という言葉の意味は、「マーケティング活動を行わなくても、自ずと商品が売れる」という状態を指しています。(*1909年-2005年 経営学者)

ペルソナ設定でセグメントしたターゲット像を設定してもなかなか思うような結果につながらないケースが多いのが実状です。しかし、目標は「自ずと商品が売れるように」設定したターゲットに継続的にメッセージを発信していかなくてはなりません。

よって、あるクラスターをターゲット設定したら、そのターゲット一人ひとりの特性に合わせたオーダーメイドのコミュニケーションを継続していく必要があります。

その多様性、複雑性にAIを活用していくのです。

「これからはAIの時代だ!」「AIによって仕事が奪われる。」などと叫ばれていて、「AIを使わないと時代に取り残されてしまう」といって、「AI使用が目的」になってしまっているケースを多々拝見します。そのようなことに惑わされず、目的を明確化しその手段としてAIを活用するのです。

5. ターゲティングの工程の前に

マーケットの現状を把握しなければ、ターゲットを定めることはできません。
簡単な具体例があるほうがわかりやすいと思うので、キッズスポーツ運営会社のターゲティングを例にとります。

企業:都内主要エリアで様々な種目のスポーツ教室を展開
参加費:5000円/回
参加対象:未就学児童~小学生の男女
参加:WEBサイトの申込のみ

さて、この条件でどうのようにターゲティングしていくか。

まずは、現状の与件を整理していきましょう。

5-1.マーケット全体の把握 

「有効な市場規模か否か」(Realistic Scale)
そもそもこの「キッズスポーツマーケット」ってどの程度あるのかを、マクロ的に、市場規模(金額)、参加者数、男女、年齢、地域、種目別などの基礎データ分析をします。

※副産物として、この調査分析によって、例えば「学習塾よりもマーケットが大きい」「この地域の小学生女子バスケットボール参加率がすごい」というような発見、気づきがあり、ビジネスチャンスを広げる視点が増します。

5-2. 今後伸びゆくマーケットか

「成長性」(Rate of Growth)分析

短期的、中長期的にマーケット環境はどうなっていくのか。
 縮小あるいは収束していくマーケットにターゲティングを仕掛けていっても、大きな実りはありません。マーケターとして、有望マーケットかをまずは把握することが重要です。また新カテゴリーマーケットだとすると、初期の参入で大きなマーケットシェアを握ることも狙えます。
  
特にPEST分析を行います。このケースですと
・Political :国の子どもの体力増進戦略(文科省、厚労省、スポーツ庁の動き)
・Economic:景気状況、家計の状況、物価などの影響
・Social : 都市化、少子高齢化、児童保育無償化、オリパラの動き
     プロスポーツ選手の動向
・Technology :子どもの体力増進のための技術的革新要素

などを総合的に把握して、判断していきます。

結果として、例えば、
「国家戦略として児童の体力・健康増進を目指していくための大規模予算を5か年投下する。オリパラや、プロスポーツ選手の活躍で、児童もスポーツ参加意欲が高まる。家計の子どもへの教育資金は流動的だが、運動能力を高めたいという親のニーズは今後も高まると予想。」

5-3.顧客セグメントの優先順位/波及効果(Rank/Ripple Effect)

そのカテゴリーセグメントから、他のセグメントカテゴリーへの波及効果があるか。
 セグメント内で完結せず、マーケット全体へ波及していけるかということです。
 例えば、子どもが楽しくスポーツ教室に参加していると、その親もスポーツしたくなったり、スポーツをするチャンスが増えます。中には、親子スポーツの競技もあるでしょう。子どもには、(一般的に)6つの財布*があるので、親や祖父母のスポーツ参加の可能性が高まります。(*両親、及び両祖父母の6人の財布)


   ターゲットにピンポイントで訴求し、ターゲットから情報が広がっていく。

5-4.到達可能性(Reach)

 設定したターゲットに、事業主体のマーケティング能力でメッセージを届けることができるのか。ということを検証します。
 極論ですが、「南極に居住する各国の隊員こそが、この商品のターゲットだ!」と思っても、そこにダイレクトリーチすることは厳しいと思われます。
 また、「富裕層に買ってもらいたい」と思っても、該当地域のタワーマンションお住まいの富裕層にリーチできるのか。またリーチできたとして、富裕層の人々に刺さる表現か、WEBサイトへの誘導、申込、参加費の回収、当日の会場までのアクセスがスムーズにできるのか、というUX設定も重要な要素です。

5-5.競合状況(Rival)

 他の競合事業者がいれば、その実態を調査する必要があります。
例えば、
競合Aは、プロスポーツ養成メイン
競合Bは、月謝制で、月何回でいくらという設定
競合Cは、大手スポーツクラブのキッズスポーツ教室併設
などが考えられます。
更に金額や参加者属性などを調査し、こちらの差別的優位性を探り、ターゲットへのアピールポイントを絞り込みます。また、競合分析の結果、ぽっかり空いたブルーオーシャンを発見できれば、その分野での新事業を構築することもできます。

例)

5-6.反応の測定可能性(Response)

プロモーション実施の効果測定の可能性です。WEBでの申し込みですと、個人情報のDATAは収集しやすいですが、個人情報保護のコンプライアンス遵守の徹底が必要となります。参加者の満足度、意見、要望などを吸い上げ、サービスの向上に努めることが、リピーター獲得のきっかけになります。

6.ターゲティング

上記のような環境分析のもと、商品・サービスの特徴・強みを生かした、ターゲティングをします。

このキッズスポーツ教室を例にすると、上記のマーケティングリサーチ・分析の結果、
①ターゲット:3歳~12歳までの子どもを持つ母親
②ペルソナ:世帯年収600万円以上。

「学習塾には通っているが、実は子どもの体力増進がずーっと気になっていた。
子どもの希望するスポーツがをうちの子はできるのか、また長続きできるかわからないので、まずは1回やらせてみたい。
オリンピックの正式種目になったサーフィン、スケボーやボルダリングもやってみたいと言っているけど。。。
スポーツ教室だと、保護者の付き合いがあり、めんどくさい。親としては、単発でさらっと参加したい。」

などと数値的な属性だけではなく、感情情緒的な側面も設定します。

7.リターゲティング

戦略的ターゲッティングでターゲットを設定しビジネスが進行していても、シナリオ通りに効果を生まないケースが多々あります。

例)
1)外的環境
 ・強力な競合の出現
 ・ブームの終焉
 ・事故の発生
 ・景気低迷
 ・法制度の変更
・内的環境
 ・クレームの多発
 ・商品クオリティの低下
 ・原材料の仕入れ困難
 ・広告宣伝力の低下
 ・価格の値上げ
など、様々な要因で売上が低迷することがあります。

その時は、現状のマーケティング戦略の進行から一旦立ち止まり、現状の把握をすることが必要です。

もう一度原点に立ち戻り、マーケット、ターゲット、ブランド、企業の各インサイトを抉り出すことが重要です。

そのことを、リマーケティングと言い、導き出された新マーケティング戦略を投入することを、マーケティングスイッチと呼びます。ターゲティングも、再設定することで、リターゲティングと呼びます。

事例を紹介します。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン™
 2001年開業したときは、「Power of Hollywood!」「映画の世界に飛び込もう!」とアメリカハリウッドのユニバーサル・スタジオのパワーを全面に押し出し、初年度は高い来場者、売上、話題性を記録しました。その時のターゲットは、簡単に言うと「映画好きな男女」というざっくりしたものでした。しかし、2年目以降、来場者・売上は下降を辿り、様々不祥事も重なって、一時は閉園の危機に直面していました。

そこで、マーケティングに関わるあらゆる調査を実施。すると、「アトラクションは一回乗れば制覇。全部乗ったからもういいや。」「ディズニーランドとは全然違って、パークに来ても落ち着かない。」「子どもが乗れるものがない。」「映画が古くてよくわからない。」などの調査結果がでました。

そこで、USJの全マーケティングの棚卸しを行い、徹底したマーケット、ターゲット、ブランド、企業の各インサイトを調査。

そこで、リマーケティングを決断し、リブランディング、リターゲティングを遂行しました。

新ターゲットは「子どもを持つ母親」「若い独身女性」とし(実際には細かいターゲティングを実施)、そのターゲットの関心事などを掘り下げ、5周年の時からターゲットにマッチした施策(アトラクション、ショー、パーク演出)を実施していきました。逆に言うと、そのターゲット以外は見向きもしない(マーケティング的には「捨てる」)決意でした。

すると、初年度で来場者・売上は上昇へと転じていったのです。設定したターゲットとエンゲージメントが醸成されると、ブランドイメージは自然にマーケット全体へ広がっていきます。

そのあとの快進撃は、おそらく皆さまの知るところと思います。

そのように、行き詰まったら、一旦立ち止まり、リマーケティングを実施していくと、間違っていた戦略を発見でき、あるべき方向へ進むことができます。

8. 最後に

ターゲティングとは、マーケット全体に発信していた時のロスを未然に防ぎ、できるだけピンポイントでターゲットに効率良くメッセージが届くようにすることです。それは経営資源を選択と集中により投下することで、効率的な認知、好感度、売上・利益を獲得する手段です。

 そのターゲットとエンゲージメントが醸成されると、ロイヤルカスタマーやリピーターなどのファン化が見えてきます。そうすれば、こちらが何もしなくても、そのターゲットが新規顧客を連れてきてくれます。
著名なピーター・F・ドラッカー*の理想に一歩近づきます。

 移ろいやすい、浮気者の生活者です。ターゲティングして終わりではなく、流動化するマーケットに常にマッチしていくことで、自社ブランドのファンを構築していきましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*